フライフィッシング時々アウトドアのち道具ヲタクところによって激辛B級グルメもあるでしょう

2016年10月10日月曜日

秋の北海道2016その2 スプリングクリーク

前回お伝えしたとおり、台風10号の大雨で帯広の河川はどこも大荒れ状態でして、よくもまあこんな時に休んで釣りに来るもんだと、定宿(ビジネス・イン こやど)の主人も呆れ顔であった。もっとも宿の主人からすれば、この連休なのにキャンセル続きでマイッタ。お客さんが来ないのがいちばん困るわけで、のんきで酔狂な釣り人とはいえ、帯広でいくばくかの消費行動をしてくれる大事な客人ではありますww

昨年あれだけ数釣りを楽しんだ然別川も、どこに行ったか鱒の姿がまったく無い。音更川も札内川もドロドロ状態が続いてダメダメで、新規開拓として臨んだのが帯広郊外の小規模な湧水の川でした。
友人の情報網で帯広の方から、この大雨でも影響の少ないスプリングクリークを紹介されていました。どうやら、周囲の山々からの地下水を水源とする川のひとつらしい。規模からすると、いつも内地で使っている4番ロッドの出番です。

いちじるしく繁茂したバイカモや水草が安定した水の流れを物語っています。

水草が繁茂していない深場は水中の石が青く見え、どうやら川底から水が湧き出ている様子。その深場には遡上してきたサケが大挙して産卵行動をとっていて、周りの魚を追い散らしている。したがって、サケが定位していない淵頭や瀬になった浅めの場所、あるいは草で区切られ細くなった流れを狙うと、、、

するとこれが、こんなにも居るのかと驚くくらい野生のニジマスが次々にヒットしてくる。道路から降りてすぐの所でさっそくヒットです。

アベレージは8~9寸、たまに尺が交じる程度ですが、内地からの釣り人にとっては十分なサイズ。それにニジマスですから、掛かってから走るし飛ぶし元気いっぱいで楽しい!

ただし、土手の草と水草と障害物が多く、悠長にやりとりしていると突っ込まれて厄介なことになります。それにしてもジンクリアな流れです。他の河川のドロ濁りが嘘のよう、台風の被害もまったく感じられず、鮭も鱒も素晴らしく豊かで、とても救われた気分になりました。

快調にヒットが続く。まだ先程の橋のすぐ上のポイントです。次々にヒットしてくるので、さっぱり前に進みませんww

一口にニジマスといっても、ここの鱒は個体差が大きいですね。これは婚姻色でしょうか?赤味の強い個体。

大きくてもせいぜい尺上程度か?と、高をくくっていたら、幸運にも37センチをヒットさせることができました。40センチには届きませんが、この川では最大クラスでしょう。
さすがに引きが強く、唯一この川でリールでやりとりした鱒でしたが、走らせると草に突っ込んでアウトになる恐れがあり、観戦していた友人のアドバイスで川の中央に立ち込み、岸に寄らせないようやりとりした結果、首尾よく手中に収めることができました。4番ロッドが思いっきりしなってラインはギュンギュン音を立て、エキサイティングなファイトを満喫しました。意外にもまだ幼い顔つきをしています。この後は下流の大場所でさらに成長するのでしょうか?

そういえば、休憩で川から上がったとき偶然にも、あの有名なロッジラッキーフィールドのダンナさんとお会いしました。ゲストの方を案内して、どこか釣れる川は無いか、と車で移動中だった模様。「小さな川だけどドライフライで楽しめるでしょう」とのダンナさんの問いかけに、ちょうど37センチを取った後だった自分は興奮気味で、「いやぁ、この川の主を釣っちゃいましたよ、ガハハ」みたいな感じでしたが、40センチに満たないニジマスなんて、地元の方は本気で狙わないのでしょうね、いやお恥ずかしい。


この日のあと、音別川・茶路川のアメマスなども狙いに行きましたがいまひとつパッとせず、結局、最終日に再びこの川を訪れることになりました。
数が釣れることは分かっていたので、ドライフライはフロータント処理で手返しが悪い。それと、水草の間にものすごい数のコカゲロウの類が居ることが観察されたので、小さなフェザントテールを水面下に漂わせると、これが猛烈に当たりでした。流れ方が適切だとほとんど毎回食ってくるありさま。ライズしてる個体もことごとくこれでヒットさせました。何本も掛けてボディが壊れ、もはやフライとして機能していないかと思われるのに、それでも食ってきます。

37センチを超える型が出ないかと、掛けては放し、掛けては放しを繰り返しましたが、残念ながら結局、これを超える型は出ず。

台風被害の後でもこんなに釣れる川があるなんて、やはり帯広はフィールドに恵まれていますね。自分は2回この川に通って、トータル60本以上掛けたと思います、ちょっと釣りすぎかも(苦笑)こんな手軽で豊かな川が身近にあることが羨ましいです。

この川も下流部は堂々とした流れになっているので、型を狙うならそちらになるでしょう。次回チャンスがあれば、ぜひ探ってみたいですね。

2016年10月2日日曜日

秋の北海道2016その1 ワイルドウォーター

台風10号の爪痕深く、正直、ダメ元で出かけた今年の北海道釣行でした。確かに、帯広に向かう途中の街も川もメチャクチャな状態で、日勝峠は全面崩落で復旧に5年かかるとか、十勝の新得の市街地は土砂まみれ、大動脈である国道38号線の橋は流され、十勝川も音更川も大荒れのドロドロだったり。

写真は十勝川本流の中流部。普段ならダイナミックな鱒釣りができる絶好のポイントですが、河畔林はなぎ倒され流れは真っ茶色。とても釣りができるような状態ではありません。

ところが、川の上流部へ出かけてみると、鱒たちは平然と、かえって釣り人が来ないおかげでのびのび暮らしていました。砂防堰堤が倒壊するような恐ろしい流れの中でも、どこかゆるい場所を見つけて避難しているのでしょう。大水で鱒が流されてしまう、なんてことは一種の迷信のようですね。
とはいえアクセスは困難を極めました。林道が崩落していて、車の行き止まり付近は釣り人の足跡だらけ。これを避けるため、まずは途切れ途切れの林道をひたすら歩いて上流部を目指します。

待ち受けていたのは、平水に戻った、それでもタフなワイルドウォーター。岩にぶつかるダイナミックな流れにボトリと大型のフライを落とすと、、、
さっそく出ました!40弱のパワフルレインボー、川底から一気にシュティミレーターに飛びついてきました。内地ではまず使うことのないサイズのフライです。ワイルドな釣りにシビレます。

それにしても、河畔の木々はなぎ倒され、河原は大型の重機で掘り返したかのように荒涼とし、流れがぶつかる崖の上には押し上げられた巨石が累々。。。

一方、流れがたまる場所には、根こそぎ流れ着いた木々がうず高く集積。台風が直撃したあの日、この谷には人が近寄ることなどまったくできない、恐るべき天地創造のような荒れ狂った水の姿があったことでしょう。

そんな中にあって鱒たちは異常に元気。昨年この川に来たときは1日釣って1ダース程度のヒット数だったはず。これが今回は、型はどうでも要所要所からヒットが続きます。これは何より、フィッシングプレッシャーが少ないことが効いているのでしょう。
30センチクラスは数が釣れて、これはこれで楽しいのですが、狙いとする40センチオーバーが出てくれない。

砂防堰堤があっけなく倒壊している。人工建造物の存在を許さない、恐るべき水の力。しかし、その場所がアクセントとなって、、、
ポイントへの第1投で友人が掛けた超パワフルレインボー。大場所に鱒がたまっていて、我先にとフライにアタックしてくるありさま。

続いてすぐさま自分も、コンディション最高の怪力レインボー。
君に会うために、職場のヒンシュクにもめげず、シルバーウィークをすっかり休んでここまで来たんだ。嬉しい。

特大サイズのシュティミレーターにガッポリ、狂ったようなトルクで淵の中を走り回り、ギュンギュン糸鳴りがしてエキサイティングなやりとりを満喫しました。よく見ると、フックが外側から掛かってますね、フッキングしたのは運が良いだけなのでした、危ない危ない(苦笑)
激しい流れをもろともしない野生の証明。

と、この鱒を掛けたところで時刻は16時。この先さらに大型の期待できる場所が続きますが、17時には暗くなるこの時期の谷あい、ましてやこれから、道路の無い場所を歩いて帰るとなると潔く釣りを切り上げるのが吉。なぜって、、、
来る途中でも見かけたんですよね、ヤツの足跡を何度も。どう考えてもヒグマの巣のようなこの場所、命が惜しければ釣果の深追いはしないことです。

目指していた大物には巡り会えなかったけれど、元気な鱒たちの姿が確認できて非常に満足しました。おそらく川が激流と化しているときは、地表の昆虫などが大量に流下して、かえってエサが豊富だったのかもしれません。

ところが、平水となった今は陸生昆虫の流下も少なく、一方で水生昆虫は流されてしまいエサ不足になりつつあったと推測します。夕方になってもハッチの類はまったくありませんでした。そのため、水面を流下するものならとにかくなんでも食いつく状況になっていたのでしょう。

以上のことからすると、水中のエサ不足は深刻であり、この冬以降の生息環境が心配です。また、倒壊した堰堤や林道改修のための調査・測量がさっそく行われているようで、来年の今頃は土木工事がさかんに行われ、河床にも大規模な掘削が入る。。。

川は平静を取り戻しつつありますが、鱒たちの試練はこれからなのか。 それでも、自然の回復力を信じ、これを確かめるためにも、またいつかこの谷を訪ねたいと思いました。