フライフィッシング時々アウトドアのち道具ヲタクところによって激辛B級グルメもあるでしょう

2016年10月2日日曜日

秋の北海道2016その1 ワイルドウォーター

台風10号の爪痕深く、正直、ダメ元で出かけた今年の北海道釣行でした。確かに、帯広に向かう途中の街も川もメチャクチャな状態で、日勝峠は全面崩落で復旧に5年かかるとか、十勝の新得の市街地は土砂まみれ、大動脈である国道38号線の橋は流され、十勝川も音更川も大荒れのドロドロだったり。

写真は十勝川本流の中流部。普段ならダイナミックな鱒釣りができる絶好のポイントですが、河畔林はなぎ倒され流れは真っ茶色。とても釣りができるような状態ではありません。

ところが、川の上流部へ出かけてみると、鱒たちは平然と、かえって釣り人が来ないおかげでのびのび暮らしていました。砂防堰堤が倒壊するような恐ろしい流れの中でも、どこかゆるい場所を見つけて避難しているのでしょう。大水で鱒が流されてしまう、なんてことは一種の迷信のようですね。
とはいえアクセスは困難を極めました。林道が崩落していて、車の行き止まり付近は釣り人の足跡だらけ。これを避けるため、まずは途切れ途切れの林道をひたすら歩いて上流部を目指します。

待ち受けていたのは、平水に戻った、それでもタフなワイルドウォーター。岩にぶつかるダイナミックな流れにボトリと大型のフライを落とすと、、、
さっそく出ました!40弱のパワフルレインボー、川底から一気にシュティミレーターに飛びついてきました。内地ではまず使うことのないサイズのフライです。ワイルドな釣りにシビレます。

それにしても、河畔の木々はなぎ倒され、河原は大型の重機で掘り返したかのように荒涼とし、流れがぶつかる崖の上には押し上げられた巨石が累々。。。

一方、流れがたまる場所には、根こそぎ流れ着いた木々がうず高く集積。台風が直撃したあの日、この谷には人が近寄ることなどまったくできない、恐るべき天地創造のような荒れ狂った水の姿があったことでしょう。

そんな中にあって鱒たちは異常に元気。昨年この川に来たときは1日釣って1ダース程度のヒット数だったはず。これが今回は、型はどうでも要所要所からヒットが続きます。これは何より、フィッシングプレッシャーが少ないことが効いているのでしょう。
30センチクラスは数が釣れて、これはこれで楽しいのですが、狙いとする40センチオーバーが出てくれない。

砂防堰堤があっけなく倒壊している。人工建造物の存在を許さない、恐るべき水の力。しかし、その場所がアクセントとなって、、、
ポイントへの第1投で友人が掛けた超パワフルレインボー。大場所に鱒がたまっていて、我先にとフライにアタックしてくるありさま。

続いてすぐさま自分も、コンディション最高の怪力レインボー。
君に会うために、職場のヒンシュクにもめげず、シルバーウィークをすっかり休んでここまで来たんだ。嬉しい。

特大サイズのシュティミレーターにガッポリ、狂ったようなトルクで淵の中を走り回り、ギュンギュン糸鳴りがしてエキサイティングなやりとりを満喫しました。よく見ると、フックが外側から掛かってますね、フッキングしたのは運が良いだけなのでした、危ない危ない(苦笑)
激しい流れをもろともしない野生の証明。

と、この鱒を掛けたところで時刻は16時。この先さらに大型の期待できる場所が続きますが、17時には暗くなるこの時期の谷あい、ましてやこれから、道路の無い場所を歩いて帰るとなると潔く釣りを切り上げるのが吉。なぜって、、、
来る途中でも見かけたんですよね、ヤツの足跡を何度も。どう考えてもヒグマの巣のようなこの場所、命が惜しければ釣果の深追いはしないことです。

目指していた大物には巡り会えなかったけれど、元気な鱒たちの姿が確認できて非常に満足しました。おそらく川が激流と化しているときは、地表の昆虫などが大量に流下して、かえってエサが豊富だったのかもしれません。

ところが、平水となった今は陸生昆虫の流下も少なく、一方で水生昆虫は流されてしまいエサ不足になりつつあったと推測します。夕方になってもハッチの類はまったくありませんでした。そのため、水面を流下するものならとにかくなんでも食いつく状況になっていたのでしょう。

以上のことからすると、水中のエサ不足は深刻であり、この冬以降の生息環境が心配です。また、倒壊した堰堤や林道改修のための調査・測量がさっそく行われているようで、来年の今頃は土木工事がさかんに行われ、河床にも大規模な掘削が入る。。。

川は平静を取り戻しつつありますが、鱒たちの試練はこれからなのか。 それでも、自然の回復力を信じ、これを確かめるためにも、またいつかこの谷を訪ねたいと思いました。

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